東京科学大学博物館

東京科学大学博物館(東京・大岡山)のnoteです。ここでは、展示品の解説や、刊行物などの情報を共有していきます。

東京科学大学博物館

東京科学大学博物館(東京・大岡山)のnoteです。ここでは、展示品の解説や、刊行物などの情報を共有していきます。

マガジン

  • 企画展示解説

    5本

    東京科学大学博物館の企画展示の解説を集めました。

  • 展示解説

    39本

    東京科学大学博物館に展示中の収蔵品の解説を集めました。

  • 通信

    3本

    東京科学大学博物館に展示中の資料のうち、通信技術やコンピュータ関連の解説を集めました。

  • 窯業

    5本

    東京科学大学博物館に展示中の資料のうち、窯業関連の解説を集めました。

  • 機械遺産

    8本

    東京科学大学博物館に展示中の資料のうち、世界的に価値のある技術遺産や、紡織学科実験工場で使用された機械類の解説を集めました。

記事一覧

    • 高安定水晶振動子の実現 古賀逸策

       板状の水晶に交流の電圧を加えると、水晶板の大きさに応じた、ある固有の周 波数で電気信号が強調される。この性質を利用した〈水晶振動子〉という小さな 部品は、私達の身の回りにある、通信機器や時計などの電子機器に用いられている。 古賀逸策は、この水晶振動子の高精度化と実用化を飛躍的に進めた。この水晶の性質は 1922年ケイディーによって発見され、翌1923年にはピアースが真空管と組み合わせ、無線通信に利用する発信回路を開発する。1929年、東京工業大学(東京科学大学の前身)助教授

      高安定水晶振動子の実現 古賀逸策

      • 空気圧の産業界と人間の生活への応用 基礎技術:等温化圧力容器 名誉教授 香川利春

        0.前書き みなさん、こんにちは。 まず最初に自己紹介させていただきます。私は1974年に東京工業大学(東京科学大学の前身)制御工学科を卒業して計装メーカ技術部に2年間在職し、その後東京工業大学(東京科学大学の前身)制御工学科の助手、講師、助教授、教授として務めて4年前に定年退職しました。学部の成績はやっとこ半分以上との感じで、学生時代はオートバイや登山に夢中になっていました。それでも大学の研究者である以上、研究分野を持ってなんかやらなければとの気持ちを持っていました。そ

        空気圧の産業界と人間の生活への応用 基礎技術:等温化圧力容器 名誉教授 香川利春

        • ニューダイヤモンド -機能性炭素材料の魅力- 科学技術創成研究院 教授 大竹尚登

          1.はじめに  この展示の主役である炭素は,様々な顔をもちます。全ての生物は炭素なしには存在しませんし,炭もその名のとおり炭素が主成分です。地球温暖化の元凶と言われる二酸化炭素も炭素と酸素で構成されています。そして炭素は,科学技術と産業の視点からみると,とても魅力的な材料でもあるのです。薄膜としての炭素材料の分類を図1に示します。 図の上の頂点は,炭素が四面体のような構造で結合(sp³混成軌道により結合)していることを示し,ダイヤモンドはこの頂点に位置します。また,左下の

          ニューダイヤモンド -機能性炭素材料の魅力- 科学技術創成研究院 教授 大竹尚登

          • 数理モデルで推し進めるファッションのDX ビネット&クラリティ代表 安田翔也

            会社設立の経緯を教えてください 振り返ると、学部入学から博士卒業まで10年間東京工業大学(東京科学大学の前身、以下、東工大)に所属していたことになります。入学当初はとにかく”生物っぽい”実験がしたいと思っていましたが、専門科目を学ぶうちに生物を数理的な側面から見ることへの興味が増しました。そこで、卒研ではウニやヒトデの卵割の実験を、修士ではマイクロサイズの人工細胞に関わる研究を、博士ではマウス免疫細胞の生存力を数理モデル化して卒業しました。細胞を扱うという点は一貫しています

            数理モデルで推し進めるファッションのDX ビネット&クラリティ代表 安田翔也

            • ナノファイバーが創る地球環境 谷岡 明彦

              はじめにナノファイバーとは、直径が1nmから1000nm(注1)、長さが直径の100倍以上の繊維状物質(毛髪(約Φ0.06 mm = 60 μm)の100分の1から1000分の1の太さを持つ超極細繊維)です。ナノファーバーはアキレス腱、骨、遺伝子などのように身近に存在するものですが、工業的にも作ることができます。工業生産方法としては高電圧を使用するESD(Electro Spray Deposition:一般的には電界紡糸法とも呼ばれ溶媒に溶解した高分子を利用)や異なった高分

              ナノファイバーが創る地球環境 谷岡 明彦

              • コガネムシの色鮮やかな体表を化学する -生物ナノマニュファクチャリングの不思議の世界  渡辺順次

                はじめに 展示物①のコガネムシを眺めてみてください。まずはそのメタリックな色に目を奪われます。メタリック色とは反射光の強度が強いということです。また、見る方向を変えると色が変わることにもすぐに気が付くと思います。垂直方位から水平方位へ目を移すと色はブルー側にシフトします。これら二つの特徴のため、特定の波長の光を吸収して色付く染料とは異なり、ときおり神秘的なほど深く、美しく輝いて見えるのです。 ここで皆さんは、多くの疑問を持たれることと思います。自然科学の研究は全て、なぜ?か

                コガネムシの色鮮やかな体表を化学する -生物ナノマニュファクチャリングの不思議の世界  渡辺順次