高速テープ力織機
この力織機は、精紡機のスピンドル(糸に撚り(より)をかけ、巻き取るボビンの軸のこと)を高速回転させるための動力伝達用テープベルトを製造するためのものです。
本来は本機と同様の部分が5個一組になって一つの鋳鉄製台座に取り付けられていましたが、保存用としてそのうち一個分を分離し、新たに動力部分と台座を設けたものです。巾の狭いテープを織る織機であることから、よこ糸の巻き形状、よこ糸を入れる機構、よこ糸をたて糸に押し込む機構(「おさ」の運動機構)に通常の力織機(例えば、N型織機、ドブクロス織機)とは異なる独特の機構が考案されています。
また、高速で安定した運転を可能とするために、各部分は極めて精巧に設計制作されています。この高速テープ力織機は、スイスのAdolph Saurer社製で、1927(昭和2)年に購入されたものです。
この高速テープカ織機は酒井哲也教授退官記念事業の一環として、1991-1993(平成3-5)年元技官小林満氏の手で修復整備されました。具体的には、精巧に工作された部品が多く、腐食が進行すると将来修復が困難であると考えられるため、部品各部に可能な限りメッキを施すなど修復作業を行いました。