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パーソンズ・タービン

1884(明治17)年、イギリスのチャールズ・A・パーソンズ(1854-1931)は、世界初の蒸気タービンを発明し特許を取得しました。

蒸気タービンは、長い間、多くの発明家達の注意を引いており、1880(明治13)年までに100件ほど特許が登録されてはいましたが、満足な機械を製作するのに役立ったものはなかったといわれます。

パーソンズは、当時もっとも緊急な技術的要求の一つが発電機に直結して駆動する機関の開発にあったことから、在来の直接軸の周囲に取り付けた羽根に蒸気を吹き当てて回転運動を得る蒸気タービンの開発に成功しました。

具体的には、金属の円筒(ケーシング)の中に羽根つきの軸を入れ、円筒の内側にも多数の羽根をとりつけ、両者の羽根が互い違いになるようにつくられています。

羽根をつけた軸は「回転子」、これを収める羽根をつけた円筒は「固定子」と呼ばれ、高圧の蒸気がボイラーから固定子の中央部に吹き込まれると、その蒸気がタービンの水平軸に沿って、固定子と回転子の羽根の間を急膨張しながら猛スピードで突進し、大気中に放出されます。これによって回転子は急回転し、この回転が2極ダイナモに直結して発電が行われます。このタービンの技術的成功は大きな話題となり、火力発電所や船の動力用にも使われるようになりました。

当館にあるパーソンズ・タービンは、1897(明治30)年頃、芝浦製作所(現・東芝)で輸入研究された原型に近い初期型のもので、その後、東京高等工業学校(東京科学大学の前身)に寄贈されて教育に資されたといわれ、技術遺産として大変貴重な資料です。

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パーソンズ・タービン

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