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KDD 大手町中央局舎の標準時計 ー古賀逸策

国際電信電話株式会社(KDD)で、標準時計を設置するに際し、国産で世界に誇れるものとして、古賀逸策(1899年-1982年)研究室にて開発されたKQ6水晶時計を中心とする装置が採用されました。

KQ6は、古賀研究室で開発が進められていた水晶時計の最終形であり、この装置には、周波数温度特性の優れた水晶振動子300kHz R1(AT)板による発振信号を分周した50Hzの信号により動作する同期モーターが用いられ、亜細亜製作所の製作により、1955(昭和30)年12月に完成納入されました。

この水晶時計は、KDD の周波数標準装置として大手町の中央局舎に設置され、10数年の長きにわたりKDD の海外への送信のすべての電波(NHKの海外向け短波放送も含む)の標準として使われ、無事故で安定に作動し、時刻標準器としての役目を果たしました。なお、水晶振動子は現在も、クォーツ時計、コンピュータ、無線通信機などに広く使われています。 

ここに展示されている装置は、局舎内のいろいろな場所に置かれていた副標準器の一つを復元したもので、残存していた発振部と表示部を使い、全体の構成を示すようにしました。

なお古賀逸策による水晶振動子の研究業績は、2011(平成23)年に第4回電気技術の顕彰制度「でんきの礎」受賞しました。「でんきの礎」制度は、社会の発展に貢献し歴史的に記念される”モノ”、”こと”、”人”、”場所”を顕彰する制度として、電気学会創立120 周年を迎えた2008(平成20)年に創設されました。

また「温度無依存水晶振動子」が、社会や産業に多大な貢献をした歴史的な業績として、2017年に IEEEマイルストーン(Milestone)に認定されました。IEEE(アイ・トリプル・イー: The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)は、米国に本部を持つ電気電子分野の世界最大の専門家組織で、IEEEマイルストーンは、IEEEが電気・電子技術やその関連分野における歴史的偉業に対して認定する賞です。認定されるためには、25年以上に渡って世の中で高く評価を受けてきたという実績が必要です。本学にとっては、フェライトに続き2つ目のマイルストーンとなります。

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