スターリング・エンジン
スターリング・エンジンは、1816年、蒸気機関が盛んに使われていた時代に、スコットランドのロバート・スターリング(1790-1867)によって発明された外燃機関のエンジンです。このエンジンでは、シリンダー内の空気を加熱・冷却することによって、空気が膨張と収縮を繰り返し、ピストンを動かします。ガソリンエンジンなど内燃機関の発達により、忘れられた存在になったエンジンですが、次のような特徴から静かで安全なエコエンジンとして再注目されています。
1. 静かな動作:内燃機関はシリンダー内で燃料を爆発させるため、大きな爆発音や排気音が発生する。スターリング・エンジンでは、機械的な動作音のみできわめて静か
2. 高い熱効率:空気が加熱シリンダーと冷却シリンダー間を移動する経路に熱再生室を装備しており、きわめて熱効率の高い設計
3. 自由な熱源:シリンダー間で温度差があれば動くので、太陽エネルギーや地熱などの自然エネルギーも利用可能
4. 低い環境負荷:燃料が自由で、空気の膨張・収縮のみをしているため、排ガスなどが発生せず、環境にやさしい
当館所蔵のスターリング・エンジンは、1926(大正15)年に大学に登録され、機械工学科の熱工学研究室に保存されていたものです。製作年は不明ですが、揚水ポンプ用として製造された製品です。これまで附属工業高等学校の生徒達や、本学学生の手で修理と整備がおこなわれ、現在でも稼働します。科学技術教材としても、技術史資料としても貴重なものです。